アガベ育成の最大の敵が「徒長(とちょう)」です。
アガべの葉が変に伸びてボール型のフォルムが崩れ、美しさがなくなってしまう現象が徒長です。
きれいだった形がいびつになってしまったら、申し訳ないけどアガべに対する愛情も半減してしまいます。
「残念だけど、捨ててしまおうかな・・・」って考えちゃいますよね。
でもまだやれることがあります。
下は徒長してしまったアガべです。小さい時はきれいなボール型だったのに・・・

この記事の前半は、なぜ徒長してしまうのか?どうしたら徒長を防げるのか?について説明し、
後半ではこの徒長をリセットする方法を解説します。
この記事を読んで、アガべを育てる皆さんが、徒長という悲劇を少しでも回避できたら嬉しく思います。
なぜ徒長するのか?どうしたら徒長を防ぐことができるのか?
徒長の最大の原因は「日光不足」です。
とにかくアガベは直射日光の当たるところに置く必要があります。
日陰で育ててしまうと、もやしのようにどんどん日光を求めて葉が伸びてしまい、形が崩れてしまいます。
ただ、私のようにマンションのベランダで育てている人にとって、日光を当てるのはかなり困難です。
でも諦めてはいけません。さまざまな工夫によって少しでも多くの日光をあててあげましょう。
次に考えられる原因は「水のやり過ぎ」です。
アガベは水は好きですが、乾燥にも強い植物です。
肉厚のぷっくりした葉にたっぷりの水を蓄えているからです。
逆に乾燥気味に育てると葉にしっかり水を貯めようとするため、葉がふっくらしてきます。
このことを「締(し)めて育てる」という言い方をすることもあります。
締めて育てると、アガベはきれいなボール型になります。
つまり水のやり方が重要となってきます。
水のやり方は人によってさまざまですが、私の「水やりルール」は・・・
「雨の日か曇りの日にたっぷりと水をやる」です。
これは、アガベの原産地であるメキシコなどでは、土は普段は乾燥していても雨が降ったらしっかり濡れる訳で、晴れた日に土が濡れること自体が不自然なことだからです。
朝起きて雨が降っていたらアガベの水やりチャンスです。
関西では雨の日は非常に少ないので、水やりの頻度としてもちょうど良いのではないかと思います。
徒長してしまったアガべをリセットする方法「胴切り&縦割り」
手順① 用意する道具

❶カッターまたはナイフ
もちろんアガべを切るために使います。
❷ハケ
切り口の消毒薬(❻ダコニール)を塗るために使います。
❸グローブ
アガべをつかむ時にケガを防いでくれます。
❹彫刻刀
アガベの成長点を削り取るために使います。
❺ライター
アガベを切る時にカッターやナイフの刃を消毒するために使います。
❻ダコニール(粉材)
切り口からばい菌が入らないよう消毒する薬です。
手順② カッターの刃を熱で消毒する
アガベを切った時に、カッターの刃についた菌などが葉にうつらないよう熱で消毒します。
ライターやコンロの炎であぶって消毒します。

手順③ 適切な位置でアガべを横に切る
大事に育てたアガベをバッサリ切るのはなかなか勇気がいる作業です。
でもこれでアガベが生まれ変わると信じて、心を無にして一息にやってしまいましょう。
下の葉を数枚残した位置で横に切ります。

この時、園芸用グローブを使えば棘が刺さりません。
手順④ さらに縦に割る
横に切った後、さらに縦に割ります。

手順⑤ 成長点を彫刻刀でえぐり取る
このままだと中心の成長点がまだ生きているので、彫刻刀でえぐり出しとどめを刺します。

手順⑥ 切り口をダコニールで消毒する
この切り口からばい菌が入って腐らないように、ハケを使って切り口にダコニールを塗ります。

手順⑦ 小石をはさんで完成
さらに縦に割ったアガベがまたくっつくことがないよう小石をはさんでおきます。

ここまでするとこのアガベの成長は完全に止まります。
すると、アガベは子孫を残すために子株を出そうとするわけです。
同じ遺伝子を持った子株が生まれて、今度は上手にそれを育てれば、きれいなアガベになる可能性があるというわけです。
これが、リセットですね。
アガベの生命力には驚かされます。
アガべ胴切り&縦割りのその後(1ヶ月後)
胴切り&縦割りからおよそ1ヶ月で子株の芽が2つほど出てきました。

一説では残った葉の数だけ子株が出るらしいのですが、もう少し待ちたいと思います。
この子株たち、なんとか大きく育って欲しいものです。
みなさんもアガベが徒長してしまった時には「胴切り&縦割り」にトライしてみてください。
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